創造性の研究領域

創造性研究の範囲はどれほどあるかをみてみよう。

≪創造性の領域≫
  1. 創造性とは何か(定義から評価まで)
  2. 創造的人間(能力・検査・人格・天才論)
  3. 創造性の発達(胎児から高齢者まで)
  4. 創造性の開発と教育(才能発見と育成)
  5. 創造的問題解決(意識・問題・手順)
  6. 創造的思考と創造技法(思考法から技術まで)
  7. 創造的環境(発想場所から風土まで)
  8. 創造的組織(小集団から民族まで)
  9. 創造性の歴史(発明・発見から創造性開発の歴史まで)
  10. その他

創造性の研究領域は、このように多岐に渡る。

1番目に「創造性とは何か」、という創造性の定義の問題がある。すでに創造の定義はしたが、私は創造性とは、「創造を生み出す人間の持つ力」と考えている。この中には、創造性の定義、創造の評価、価値論などが含まれる。したがって、創造性の研究分野は幅広くならざるを得ないと言える。

2番目は、「創造的人間」である。「創造性は人間のみが固有に持つ力」と私は考えるので、創造性の研究分野では、最も範囲が広く、主要な領域である。主な課題は、創造的人格と、創造的能力の2つである。創造的人格の問題は個人の性格や態度といった観点から、天才論にまで行き着く。一方、創造的能力の問題は、知能と創造力、知能検査と創造性検査、創造思考と創造技法などの問題が含まれる。

3番目は「創造性の発達」。従来の発達心理学では、創造性の発達は幼年期から青年期までしか研究されていなかった。しかし現在では、胎児から高齢者まで幅広く研究されている。

4番目の課題は「創造性の開発と教育」である。創造性研究の前提には、創造性は開発できるという考えがある。したがって、創造性をいかにして開発するかの研究が、創造性研究の重要なテーマである。また、子どもから大人、個人から組織まで、創造能力を発見し育成することは、大きな課題といえる。

5番目の課題は、「創造的問題解決」。創造とは創造的問題解決に他ならない。そこで問題の解決にからむ問題意識、問題とは何か、問題解決の手順、などがこの範囲である。

6番目の分野は、「創造的思考と創造技法」である。創造的思考は創造的人間の課題でもあるが、特に創造技法と関連づけ、ここに入れた。創造的思考と創造技法はたいへん関連が深いからである。創造技法は数百にのぼり、これもとても大切なテーマである。ここに含まれるテーマとしては、発想とは、情報とは、創造的思考、創造技法などが含まれる。

7番目は、「創造的環境」である。これには、個人の発想の場所といった問題から、集団での会議室、そして大は企業や国家などの組織風土の問題まで多岐にわたる。

8番目は、「創造的組織」。これに関しては、小グループから民族までその組織の特性・組織編制・組織の創造性開発など、範囲は広い。

9番目は「創造性の歴史」である。発明・発見など人類の創造の歴史から、創造性開発の各国の歴史などが含まれる。

そのほかにも、創造性の研究分野はまだまだ考えられる。創造性は人間自体において、最も主要な課題だから、これは当然といえる。

(作成・高橋誠) 参照・「創造力事典」(日科技連出版社)