4.態度技法[2.エンカウンター・グループ]

技法の特徴

エンカウンター・グループでは、年齢・性・職業・生い立ちなどが異なる多様な人々が、グループ体験を通じて人間理解やコミュニケーション能力、リーダーシップ能力を培います。さらに創造性や自己探求力をも高めていく、集団的心理技法です。

1968年にロジャースが創設した人間研究センターで開発されたカウンセリング技法で、具体的には次のようなものです。

  1. 参加者は、知らない者同士が8~15人で1グループを構成し、最後まで同じメンバーで進行します
  2. メンバーの1~2人が「ファシリテーター(facilitator)」と呼ばれるリーダーになります。ファシリテーターの1人は精神医学や臨床心理学を学んだ人、もう1人は人間関係の問題対応に実践を積んでいる人が最適で、違う立場から相互にグループの動きを補い合うことが望ましいといわれます
  3. 2泊3日~5泊6日の期間をとり、1日に2~4回、1回に1~2時間のセッションを繰り返します。このような日常性から離れた場所と時間の中でのメンバー間の話し合いにより、自己理解、他者理解、そして能力開発を行うことを目ざします

技法の進め方

エンカウンター・グループは、一般的には次のようなプロセスで展開されます。

  1. メンバーが出会い、自己紹介などをして互いの存在を確かめ合う
  2. 不安な心の揺れ動きを経て、メンバーは相互に受容する
  3. 自己防衛が薄れ、メンバー間のコミュニケーションが活発化する
  4. 個人的な側面に触れ合い、メンバーに共感や信頼感が芽生える
  5. メンバーに否定や脅威の感情が生まれる一方、他のメンバーに支援的な気持ちが生じる
  6. 他者理解が促され、個人対個人および全体の人間関係が深まっていく
  7. 他メンバーから、グループでの自分の評価を伝えられ、自己認識する
  8. メンバーは相互に変化し、親密性をともなった自然な関係が築かれる